塩尻市奈良井宿の松屋茶房さんでお話を伺った前回、前々回に引き続き、今回は喫茶店、松屋茶房さんのこだわりについてです。

― 松屋茶房さんでの、こだわりについて、お聞かせください。

こだわりということでなら、例えば今時手のかかるサイフォンで入れるといことにも、こだわっていますし、まず、豆はお出しする分だけ、少しずつしか挽きません。引き立て、入れたて、お客様ごとに、作り置きしない。
それから、コーヒーを淹れる水、この奈良井の水は特別に良い水だから、山の湧き水を浄化したものが水道から出てるんですよ、川の水を使っていない。地元の水を使って淹れるコーヒー、コーヒーに水は大事なんですよ。
そういった、いくつもの条件をそろえて、美味しいコーヒーになる、どれが抜けても美味しいコーヒーにはならないなー


― 松屋茶房さんにとって、奈良井宿の魅力ってどんなところでしょうか

ここにずっといると、奈良井の魅力ってなかなかわかるなるな。魅力というか、奈良井の良いとこ悪いとこって、表裏一体になってると思う。
ゴミの問題、治安の問題だとか、観光客が増えて、良いことばかりではないからね。
今、インバウンド観光なんてことも言われてるけど、世界中から奈良井を目指して人が来るんだから、そういう意味では、奈良井ってやっぱりすごいところなんだろなと思いますよ。
こないだもね、アルゼンチンからも来てくれて、このノートに書いていってくれたんだよ。このノート、お客さんが最近書いていってくれたところを見ても、オーストラリア、カナダ、ハワイ、ロシア、シンガポール、台湾、フランス、コロンビア、フィンランド、そういうふうに世界からお客さんがきてくれて、とてもよかったって喜んで帰っていってくれるんだから、嬉しいよね。

奥様:この店をやっていなかったら、そういうことはなかったんだからね

そうだよね、帰り際に握手求められることもあるよ(笑)


― このノートは松屋茶房さんの宝物ですね

そうだね、世界のお客様に喜んでもらえて、また来ますとか、お釣りはいりませんとか、いうお客さんもいるよ。旅行ガイドの人もね、ここに連れてくれば間違いないと思ってくれているみたい。
インバウンド観光に対してはお店のメニューもこういった形で英語バージョンも作ってありますから。
これ見せれば、だいたいみんな選んでくれますよ。だから、そんなに怖がることはない。
あとはね、つたない英語と身振り手振りで、心が伝われば良いと思う。
日本人のいけないのは、外国人アレルギーっていうのかな、恐怖心に近いものがどうしてもあって、
英語を話せる人も、外国人の人と面と向かうと急に話せなくなっちゃう人もいるくらい。
だけどね、私たちは外国の方に慣れちゃったから、英語を話せなくても、あるいは片言であっても、どうやって意思疎通、コミュニケーションをとろうか、なんとかここに来てもらっている間に、良い思い出を作って帰ってもらおうと思ってるから。それが究極のおもてなしの心だと思うんだよね。

奥様:そういう態度を分かるみたいね、伝わるみたい。

片言であっても、外国の方に、そういう気持ちが理解してもらえるみたい。平らな言葉で言えば、一生懸命お客様に相対しているっていうことなんだけれども、理屈をこねるとおもてなしというものを、一生懸命やっている、ということなんだろうな。

アメリカの、サイエンスマガジン「スミソニアン」の人がうちに寄ってくれて、old japan kiso road という記事を書いて出版したものをうちに送ってくれたんだよ、ここにうちのことが書いてあるんだけど。
この方がご自分でも、木曽路についての本を出版されて、去年の11月にうちにその本を送ってくれたんですよ。ここに松屋茶房のことが書いてあって、私のこと、女房のこと、ショパンや、ぴあの(松屋茶房さんの愛犬)のことも、載ってて。この本をニューヨークで買ったという人が、アメリカからこの本を持って、うちに来てくれましたよ(笑)

マスターや奥様、お店全体の雰囲気を求めて世界中からお客様が来るのでしょうね。

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