塩尻市奈良井宿の松屋茶房さんでの前回に続き、今回はお客様との思い出話、エピソードのについてです。

― お客様とのエピソードについてお聞かせいただけますか

21年間、本当にいろんなことがあったんだけど、例えばお客様とのやり取りで、年賀状を送っているんです。こちらから出す年賀状は店からだから、返していただかなくてもいいんですが、年賀状も、お客様からのものがどんどん増えきたりとか。
21年もやっていると、お客様と本当に仲良くなってきましたね。コーヒー一杯だけで、ここにある絵や木版画なども、農家の方から農産物を後から送ってくださるような、そんなお付き合いもしているし、「旅行のとてもいい思い出になった」というとても丁寧なお手紙を頂いたりもしますしね、コーヒー一杯飲んだ店に対して、礼状書いてなにか送るとかはあまりないですよね。

奥様:きっとこの店のこの大きさが、お客様との距離感にちょうど良いんですよね。
それから数年前にNHKの連続テレビ小説で「おひさま」をやってもらったときは、お客様の数もすごかったんですよー


あのときはね、ピークでね、今までの倍はお客さんがいらして、私たち二人では対応しきれなくて、お断りしたこともありましたよ。
今までね作り置きしたコーヒーをお客様にお出ししたことは、一杯たりとも出したことないんです。忙しいときは、手がまわらなくなるんで、席が空いていてもお断りするんですよ。おいしいものを、ちゃんと淹れようと思っているから。
それをお客様も知っていてね、「一回りしてきます」って、それから来てくださるんですよ。

奥様:あのときは普段のような、丁寧なおもてなしもできなかったよね。

まーとにかく、その年は一年中すごかったなー、NHKというものの強さをまざまざと見せ付けられましたよ。
だから、上田なんて今どうなんだろうね、すごいと思うよー、真田丸。

店内には、BGMにショパンが流れている。トイブードルのショパン(父)と、ぴあの(娘)がお客様を迎えている。マスターからは「彼らも従業員です、ショパンと、ぴあのに会うために来店するお客様もいらっしゃるんですよ」とのこと。
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次回は、喫茶店でのこだわりについてのお話です。