今日は、塩尻の昔話のハナシをしたいと思います。
今回は、塩尻に伝わる昔話をまとめて一冊の本にした、しおじりむかしばなしを読みました。
この本には、9話の短いお話が掲載されており、その中にやっぱりげんばのじょう狐も掲載されていました。
前回の記事(塩尻が舞台になっている昔話のハナシ『桔梗ヶ原のげんばのじょう狐』)で紹介したげんばのじょう狐とは、ちょっとお話の結末が違ったのでご紹介します。
しおじり むかしばなし『げんばのじょうぎつね』
こちらの本は、おざわ そう さんという方が執筆しています。一冊を通して、現代語でやさしく書かれているのでとても読みやすかったです。
さて、内容に触れていきましょう。
げんばのじょうは人間の娘を好きになってしまった。
まさかお話の冒頭で、いきなりげんばのじょうが人間に恋をしているとなると思いませんでした。
先に述べておきますが、私が小さいころから聞かされていたのは、前回ご紹介した内容の通りで、げんばのじょうは人間には全く興味がなく、からかいやいたずらをする対象としか思っていないものだとばかり考えていました。
このお話では、げんばのじょうは『おたき』という娘に恋をしてしまいます。狐の中でもとても賢かったげんばのじょうは、同じ狐相手には興味が湧かなかったそうです。
しかしやっぱり狐。おたきさんはげんばのじょうを全く相手にしませんでした。まぁ、そうだよなあ・・・。
フラれたげんばのじょうは、巣穴で三日三晩泣き明かしたらしい。
前回紹介したげんばのじょう狐とはずいぶんイメージが違いますね。
フラれたげんばのじょうは荒れに荒れた。
それからというもの、げんばのじょうはまるでキツネが変わったように人をだますようになりました。
この、キツネが変わったようにっていう言い回し地味に好きです。
ここから、げんばのじょうは人をだましにだましてゆきます。晴れの中人に大雨だと思わせ雨宿りさせたり、かわいい女の子におまんじゅうだとだまして馬のフンを食べさせたり、そしてやっぱり花嫁行列に扮したり大名行列に扮したり好き放題やっていました。
困った村人は、いよいよ知恵を出してげんばのじょうをひっ捕まえようとします。
汽車対決?そんなことよりネズミの天ぷらくわせろ!
どうやら狐の大好物はネズミの天ぷらだそうです。
いつもみたいにげんばのじょう狐が扮した大名行列がやってきました。
「下にー、下にー」
村人たちもいつものように道に頭をつけて大名行列を迎えます。
しかしどこからかいい匂いが漂ってくる・・・それは、村人たちが事前に用意したネズミの天ぷら!
だんだん我慢ができなくなって、いよいよ大名行列は崩壊し、狐たちが飛び出してきました。
入口が小さなつぼの中に天ぷらが入っていて、げんばのじょうを含めたくさんの狐が入っていき、たらふく食べ、そして太ってつぼから出られなくなってしまいました。
やっぱりキツネはキツネ、人間の知恵に最後は負けてしまいました。
こうして、このお話はおしまいです。
いかがだったでしょうか。
塩尻出身の方は、もしかしたら前回の本の方が正しい、いやこの本の方が正しい!と意見が割れるかもしれませんね。
個人的には、前回のお話の方がクールで潔い感じで好きです。このお話はちょっとげんばのじょうがかわいすぎますね、フラれて腹いせにいたずらとはまた狐らしくて好きですけど。